mikuni
また一人、昭和の名優が逝ってしまいました。
三國連太郎さん(本名・佐藤政雄が、4月14日
午前9時18分、急性呼吸不全のために亡くなられました。

映画「善魔」(1951年)でデビューされ、
(役名が三國連太郎だったことから、そのまま芸名に)
約60年俳優として活躍されて、映画「わが母の記」(2012年)が
遺作となりました。
享年90歳でした。


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若い世代には、シリーズ20作、1988年から2009年まで
続いた「釣りバカ日誌」の“スーさん”こと鈴木 一之助役の
イメージが強いと思いますが、三國さんは“怪優”の異名をもつ
役者で、名優中の名優だったと思います。

三國さんは、俳優として、また私生活でも
“伝説”“奇行”の数々が有名です。

もっとも有名な伝説は、役作りのために、自らの歯を
10本(8本という説も)抜いた事でしょう。
映画『異母兄弟』で夫婦役を演じた田中絹代さんと
どうしても夫役に見えないということで、悩んだ末の
行動だったようです。
田中絹代さんが、当時48歳で三國さんは34歳でした。
今なら、というか普通ならメイクなどで老け顔を作る
のでしょうが、まさに怪優といわれる所以ですね。

歯を抜いた事について、後に三國さんは
「人間歳を取ったら、どう歯は抜けるから」
みたいな事を言っていました。

“前貼り”はがしも有名な伝説になっているようです。
リハーサルから本気モードの三國さんには
親しい女優でも、怯えていたといわれていまが
ある新人女優とのベッドシーンで、前貼りをはがして
事に及ぼうとしたとか・・・

有馬稲子さんや佐久間良子さんに対しても、
ベッドシーンでは本気の演技(?)をしてしまい
怒られたり、引っ叩かれたという噂もあるようです。
良し悪しは、別にして、三國さんという人は
とことん、リアリティを追及する役者だったのでしょう。

私生活での三國さんは、4度結婚しています。
離婚する度に、全財産と家を相手に渡して
犬だけを連れ、自分の身一つで、出ていくのだそうです。

3番目の奥さんとの間に生まれたのが
現在活躍中の、俳優・佐藤浩市さんです。

三國さんと佐藤さんの不仲、確執は常に言われてきましたが
佐藤さんの三國さんに対する気持ちは複雑だったと思います。
離婚したとき、佐藤さんはまだ小学6年生でした。
離婚後、母親はスナックを始め、佐藤さんが中学生に
なった頃に、母親を手伝う男性が現れて、いつの間にか
内縁の夫になっていました。
しばらくは、3人での生活が続きましたが
「この家に自分の居場所はない」と感じた佐藤さんは
高校2年のときに家を飛び出しています。
それ以来、30年間母親とは断絶状態だったようです。
(佐藤さんは、2008年に母親を自宅に引き取っています)
(情報元:NEWSポストセブン )

このような思春期を過ごした佐藤さんですから
その原因となった三國さんに対しては、ずっと
わだかまりがあっても不思議ではないと思います。

佐藤さんが役者を目指したときに、三國さんは
「親子の縁を切る」と語ったそうですが
これは、役者の道の厳しさを教えるためと
売れても、親の七光りと言われないための
三國さんの愛情からくるものだったのかもしれません。
親が有名だと、子供はどんなに有名になっても
“親の七光り”という言葉から抜け出せません。
しかし、親子の縁を切っていれば、世間は違った見方を
するだろうと思ったのでは?と思います。

親子共演が実現した、佐藤さん主演映画「美味しんぼ」の
制作会見では、「三國さん」「佐藤くん」と呼び合い
佐藤さんが「俳優はサービス業」と発言すると
三國さんは「サービス業などという考え方は間違っている」と
佐藤さんの考え方を否定して、それに対して佐藤さんは
「自分は、そう(サービス業)思っている」と
応酬していました。
かなり、ピリピリ感がある会見でした。
(三國さんと佐藤さんの初共演は、「美味しんぼ」より
10年前の1986年、映画「人間の約束」でしたが、
直接関わるシーンは、少なかったです)

その後、2008年に共演したANAのCMでは、仲睦まじい姿を
見せていました。

佐藤さんに子供ができた事を機に、三國さんと佐藤さんは
和解した(雪解け)と報じられたこともありましたが
確かに、確執はあったようです。
しかし、役者と役者としては繋がっていたようで
三國さんの死去についての取材では、佐藤さんの
三國さんに対する気持ちが、伝わってきました。

動画⇒佐藤浩市さんの会見

最後に、三國さんの追悼ということで
「釣りバカ日誌」が放送されると思いますが
もちろん、「釣りバカ日誌」も好きなのですが
個人的には、「ビルマの竪琴」「切腹」
「飢餓海峡」「マルサの女」「ひかりごけ」
「復讐するは我にあり」などが見たいです。
映画出演などでは、助演や脇が多い三國さんですが
その存在感は凄くて、印象に残る作品は多いです。

名優、三國連太郎さんのご冥福をお祈りします。